2011年 06月 17日
心に残ったオルガン・コンサート |
私の気持ちを前向きに変えてくれたチャリティー・コンサート。
それは6月11日に日本基督教団松沢教会礼拝堂で行われた「東日本大震災被災地支援 チャリティー・オルガン・コンサート」です。
このコンサートを知ったのは吉田愛さんの「オルガニスト愛のイタリア山小屋生活」というブログからです。以前、愛さんがexcite のピックアップブロガーに選ばれたことをきっかけにブログを拝見するようになり、優しくユーモアあふれるご主人との楽しいイタリア生活の様子や音楽のことなどをいつも楽しく読ませていただいていて、いつか帰国され演奏会をなさることがあったら必ず伺おう!と思っていたのです。(お名前にも親近感を持っていたのですがね~)
震災後、日本でチャリティー・コンサートをされるということをブログと松沢教会のHPで読み、その趣旨に賛同しお伺いすることにしました。
松沢教会は初めてお伺いしたのですが、ドイツ製のパイプオルガンをお持ちであると少し調べてわかりました。当日はコンサートにいらした方々で教会は満席で、牧師様のお話のあと第一部、第二部とコンサートが行われました。
第一部は、「祈り」をテーマに松沢教会オルガニストの松浦光子さんの演奏でした。
拝聴しながら、3月11日というあの日を報道する映像、そしてそこから三か月の日々を過ごす中で感じたことや周りで起こった出来事などが次々と浮かび、とても複雑な思いでした。パイプオルガンは曲目やその操作により様々な音色を奏で、凛としたそして重厚な響きであるように感じました。
後半の第二部は、吉田愛さん、アレックス・ガイさんご夫妻の「希望」をテーマにした曲目。
長調の明るく、軽やかな、そしてキラキラとした音の粒が教会に響き渡るような素晴らしいものでした。特に、パイプオルガンでの4手連弾は初めて聴かせていただいたのですが、選曲のためか、音の重なりや響き、高音も低音もどこか軽やかでそして楽しく、魅力にあふれたものでした。
子どもの頃にピアノの先生や友人とした連弾や、2台のピアノのための演奏曲がとても楽しかったことを思い出し、暗かった気持ちややるせなかった思いが少し明るくなったような気がします。
牧師様のお話や、愛さんが遠くイタリアで母国を思っておられた気持ちを伺ったことも私の気持ちを変えた出来事だったのだと思います。愛さんは遠いイタリアで母国の様子に胸を痛めていらして、コンサートでは「力仕事も出来ないし、音楽しか出来ないし何の役にもたたない」とおっしゃっていましたが、コンサートを拝聴し「音楽しか出来ない」のではなく、愛さんには「音楽」という素晴らしい援助が出来るのだと勝手ながら私は思っていました。
大震災後の援助というものは時の流れと共に必要なものが変わっていくといいます。「食」ひとつをとっても直後は空腹を満たすもの、その後は栄養のバランスを整えることも考えなければならず、次第に満足感だけでなく楽しみや喜びに代わるものでなければならなくなっていくのでしょう。音楽も芸術もそう。必要となる人や時期があるのだと思います。
批判をされることを覚悟で書くと、私はこの震災で古い恩師に看護師、助産師として現地で体を使って活動するということよりも「研究を続けるように」と勧められました。「あなたの研究はあなたにしか出来ないのだから、他の看護師、助産師があなたの代わりにしてくれることはしてもらって、あなただけしか出来ないことをしなさい」と。
「今」だけでなく「未来」を考えるという教えなのでしょう。
「今」困っている人を「今」助けることほど大切なことはないのだという考え方の方も多くいらっしゃるでしょう。でも、研究者が研究を続けるということは、「今」を生きている人の「未来」やその子どもたちやこれから産まれてくるはずの人々を豊かに、そして幸せにすることであるはずなのです。私が悩み、そして微力ながらも続けていることも「今」困っている人の「未来」を助けることになれるかもしれない。そう思って今、自分がいる場所に留まって生活を続けていくことを選んだのでした。そして、そのことは時に「自分は本当にこんなことをしていてよいのだろうか?」と悩むことでもありました。
でも、あの日、コンサートが終わるころには霧が晴れたように前を向いて歩く気持ちへと変わりました。
「自分が出来ることを出来る人がする」という言葉をよく耳にします。
沢山のボランティアの方々が汗を流して活動していらっしゃることももちろん知っています。援助する手段として「お金」を使う人、「体」として労力を提供する人、「知識」を提供する人・・・様々であって良いのではないかと思います。私は私でしかないのだから、私が出来ることを私らしくしていこう。今もそう思っています。
ブログでの出会いをきっかけに、実際にお会いしてお話をすることや演奏を聞かせていただくことまで出来て本当に幸せでした。また、次の機会も是非コンサートにお伺いしたいです。
今は、サインを頂いたCDを楽しんでいます。
by aiai-blog
| 2011-06-17 23:30
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